11/28(2008)にEIZOのブロガー向けのセミナーがありましたので参加しました(代理店:みんぽす)。
「一度聞いた人でも違う発見があるセミナー」、それが参加したあとの感想です。この製品はアフィリエイター向けにリンクシェアが間に立ったセミナーが今月の上旬に開催されましたが、内容が全く異なっていて、とても興味深かったです。
以下、わたしの当日の備忘録を兼ねた、主観を交えての記録です。
最初に参加者の自己紹介の時間がもうけられました。
自己紹介の内容はハンドル名とブログ名と今日食べた昼食のメニューです。
参加者同士のコミュニケーションをはかれるとともに、リラックスもでき、セミナーに参加しているという自覚を参加者に与えられるので、よいことだと思います。
ちなみに、わたしの昼食はミレーから頂いたほうれん草と卵を使ったスクランブルエッグです。
EIZOの社員のかたは小松空港でランチだったそうです。昼間で石川県にいたことがこれでわかってしまいました。
最初に、ナナオの会社の案内と、会社としての製品に対する取り組みの紹介がありました。
医療画像表示用の製品はガレリア銀座に展示されていました。
カラーマネジメント用の製品はガレリア銀座に展示されていました。
航空管制用、アミューズメント用のモニターに使用されていることは、このとき初めて知りました。こうした個人ユーザーの目に触れないところで使用されていることはセミナーなどに出席しないとわからないことです。
ナナオ誕生、操業開始は1968年。
当初はOEMで生産していたそうです。
操業のころは炊飯ジャーを作っていたこともありました。
ナナオのラインに炊飯ジャーが流れている図は、頭の中では容易に描くことができません。いまのナナオしかしらないわたしにとっては思わず笑みを誘われるエピソードです。
1970年代のインベーダーゲームのOEMの生産で大ブレイクしました。どれほどの売り上げと利益を上げたかの証左として、社員からパートさんまでを含めて、全員をハワイに招待したことでもわかります。
ではなぜ売れたのか?
それは、インベーダーゲームは長時間使うので、長く見ても疲れないかモニターだから支持されたためです。
品質がよく常にユーザーの方向を見ている製品は、必ずユーザーに支持され売れる、その実証例でしょう。
EIZOブランドの誕生。
欧州はモノ作りの環境への配慮が厳しい、その欧州で勝負するブランドどとして、ユニバーサルブランドとしてEIZOを立ち上げました。
わたし自身でいうと、ちょうどこのころ、EIZOのCRTモニターを購入したのですが、当初、ナナオを買いに行ったところ店員さんにEIZOブランドを進められたので驚いた記憶があります。EIZOブランドが出た直後ということで、認知度が低かったからでしょう、わたしもこのときがEIZOブランドとの出会いとなりました。
CRT(ブラウン管)では地域で磁気磁界の規制が違っているので、対応が大変だったそうです。世界を対象に高品質の製品を提供し続ける苦労の一端ということでしょう。映ればよいというレベルの製品なら、それほど規制に対応するのが難しいとは思えないからです。
秒単位の勝負の世界です。最高のディーラーに最高のモニターを配置しています。
そのモニターに故障は許されません。
このディーリングルームでは約2000名のトレーダーにEIZOのモニターが使われています。各トレーダーには数台、人によっては7台から8台のモニターを使用しているそうなので、1万台前後のモニターが故障をしないという前提で使われていることになります。
グラフィックではトップシェアを維持しています。Adobe対応90%以上のモニターが数機種、発売されています。
命を預かるEIZO、世界シェアNo1。色の濃淡など微細な表現力が求められる世界です。わずかな色の濃淡で医師が腫瘍や血栓を見分けるのです。
約5年前に薄型テレビが発売され始めました。
EIZOでは、薄いテレビがよいのか?どう使うのか?価格やブランドではないなどに疑問を持ったそうです。
そこでプロジェクトXからネーミングを借りて(笑)「プロジェクトTV」を立ち上げ、「EIZOが世に出すテレビとはどのようなコンセプトがよいか?」議論を重ねたそうです。
EIZOのテレビの開発の発端、液晶FORISの発端です。
動画コンテンツは映像だけでは感動は伝わりません。(絵画や美術品は見るだけで感動が伝わるように作られています)
鳴ればよいという音ではEIZOは満足できませんでした。
音を消した映像を流して、音がないと感動しないことを体験。
その後で音が出ているシーンを流して音の重要性をわからせる趣向。映画は「デイアフタートゥモーロー」。
主人公のデニス・クエイドが息子を助けに行くシーンです。車が事故で壊れたのでスノーシューズで歩いていると、嵐の目の中に入り周りの視界が急激に回復して温度が急低下するシーンです。
台詞は一切無いのでBGMと効果音だけのシーンですが、音が出ないと緊迫感が全く伝わってきませんでした。
鳴っているだけの音はどうなの?
音に迫力のない映像はどうなのかを実現。平面な音と立体的な音の違いを実演。FORIS.HDのスピーカーでの実演でしたので、それほど大きな違いは感じられませんでしたが、なっているだけの音と、立体的に作り上げた音では迫力が違っている事が分かりました。
音も重視しましょう!ということでFORISが生まれました。
デザインはシンメトリー。映:音=1:1コンセプトをデザインにしました。
画質、音質、機能、デザイン、すべてにおいて妥協のないモノ創りがなされました。
石川県に拠点を集中させていることのメリットとは?
(日本国内の)お客さんの不満をリアルタイムで聞くことができること。お客様の不満にすぐに対応できること。
これが品質の向上につながることです。
リビングや和室に置けるテレビを創りました。
次は?
.TVから.HDへ。
パソコン用モニター+テレビ=.HD
1+1=3にすることがコンセプト。
フルHDのテレビは37インチ以上が普通です。その大型テレビは子供さんや奥さんに占領されていませんか?
手頃なサイズのテレビ、スペースメリットをユーザーに享受してもらいたいと考えました。同じリビングルームに置けるテレビがFORIS.HDです。
大型テレビにプラスしてパソコンとテレビの双方を使えるテレビが必要と考えました。それがFORIS.HDです。
薄型テレビになったといえ、テレビは未だにAVラックの上でコーナーにおかれています。
現代はパソコンもテレビも同じ部屋に置かれています。
パソコンは使いたいしテレビも見たいので同じ部屋に置いてあります(ホームライブラリー)。
テレビが大型になったことでリビングの使い方が変わりました。
大型テレビをリビングに配置したことで、家族がリビングに集まるようになりました。中学生くらいになると自分の部屋にこもりたがりますが、大型のテレビがリビングにあることで、自然に家族がリビングルームに集まるようになりました。
パソコンも、親だけではなく子供も使うようになりました。学校教育の一環としてパソコンを指導していることも見逃せません。
以外と知られていないFORIS.HDの+αの豆知識。
「他社の周辺機器も操作できます」リモコンの数を1つにしたらという考え方から盛り込まれた機能です。
FORIS.HDならビデオカメラやゲーム機を手軽に接続できます。なぜなら横にHDMIソケットがついているからです。
このソケットはゲームやビデオカメラの需要を考えて取り付けられました。(開発者としてはこのソケットをつけるのが大変だったそうです。何度もぼやいていたのが印象的でした。でも、そのおかげで、それほど大変だったことが実感としてわかりました)
リビングに置くと人に見られます。インテリアとコーディネイトが可能なカラーバリエーションを用意し、デザインを採用しました。デザインは独特のアイコンデザイン、カラーバリエーションも豊富です。購入して頂いたユーザーが他の人に「これなに」と自慢ができるようなテレビに仕上がりました、と自負しています。
使う人のみが知るこだわりと工夫が、あちらこちらに凝縮されています。
端子類は
コネクタートップにすることが最初に決めていたそうです。意味は端子類は下向きにはしないということ、下向きにすると差し込みがしにくくなります。
コネクタートップにする位置関係の配慮が難しかったそうです。
背面の角は最初はなかったそうですが、モニターが入るのでつけざるを得なくなりました。
画面センターが高くなる形状は採用できなかったので、角をつけて使い方を優先させました。
このあたりは、開発者だけが語ることのできる「ユーザーへの配慮を優先させるべきか、販売上の見栄えの良さとしてのデザインを優先させるかの相克」でしょう。聞いていてとても興味深かったです。
スタンドはアルミのダイカスト、上が重いのでしっかりとした作りとなっています。
しっかりとした作りでないとぐらぐらと揺れたり振動したりしてしまいます。EIZOはぐらつきもなく振動もしないです。この点は昔から気を遣っているそうです。昔から譲ったことはないそうです。コストダウンのためにヤワな作りのテレビもあるとぼやいていました。
他メーカーでもユーザーに不親切なテレビを作っていることが気になるのは、開発者魂からでしょう、ちょっぴりおかしかったです。
それでも、FORIS.HDも最初は金具を使う予定だったそうですが、上記の件からアルミのダイカストを使うことにしました。
このサイズの大きさのテレビので回転とチルトができるようにしました。しっかりとしたダイカストを採用しているからできることです。
周りに張り物がありますが、なぜか?
音を鳴らすとスピーカーが振動するので筐体が共振してしまう、音を大事にしたいのでビビリ防止用のテープを手作業でつけています。後付けの対策でした。生産ラインから苦情が出たそうですが、製品の品質を保つためだと説得したそうです。
通気口の穴がいっぱいあいていて、中の配電などが一見、見えるようです。でも見えません。
背面だから中が見えてもいいだろうという発想はEIZOにはなく、中が見えないような構造のスリットとしました。コストが高くなりましたが、ユーザーが中の配線などが見えるテレビでは美しさを感じないだろうという観点から妥協しなかったそうです。
内部の上の部分が黒いのは、外から見た時に黒だと目立たないからです。
横にあるHDMIのハーネス(線)を高価な線を使っているそうです。廉価な線を使うと性能もそれに応じて下がってしまうからです。同一基盤としても価格は変わらないということでした。
EIZOの製品は、すべてはユーザーの視点から作っています。開発者から直接、具体的に個々の部品を手差しで説明を受けると説得力があります。わたしはテレビを見ない生活をしていますが、家族はテレビを見ています。最近、そろそろ買い換えようかという話が出てきた時なので、FORISブランドの購入を検討しようかと思うほどです。実際、画面の品質の良さは映像を見ればわかりますし、今回、内部の説明を受け、10年使い続けられるテレビということが納得できました。30インチ以上の大画面を必要としないのであれば、十分に購入の候補にあげられるテレビです。
画面センターが上がると見ているユーザーは疲れるそうです。確かに見上げると疲れます。画面センターが高く上がらないように工夫を凝らしています。
画面の下の斜めのスペースに5センチのスピーカーが入っています。画面センターをあげないために斜めにすればよいという発想から、この位置に斜めに配置されたそうです。
音は低温は指向性がなく、高音は指向性が強い特性を持っています。
ディフューザーの効果。中低温ではほとんど変わらないが、高音でははっきりと効果がでるのがわかります。
下の斜めのパネルの星形のマークがディフューザー。音がディフューザーに当たって横方向に広がります。よくデザインのアクセントと間違われるそうです。
音の違いを、素材を変えたり、形状を変えたりして、試行錯誤を繰り返したそうです。丸い形状はだめとか木製はだめとかを繰り返した、その結果、いまの形状に落ち着いたそうです。
現実に採用されているのはシロのディフューザーです。
コンパクトなボディーなテレビを作りたかったが、スピーカーを横につけたくはなかったそうです。下の位置に斜め向きにスピーカーがつくことになりました。音の指向性の問題を解決するためにディフューザーがつきました。
エンクローザーが音の響きに重要。EIZOも使っているそうです。スピーカーユニットを載せるだけのメーカーも多いらしいです。材質を選んでエンクローザーを作っています。
スピーカーはある程度の奥行きが必要です。その奥行きがないと、高音質の音の再現は無理ということでした。
FORIS.HDのスピーカーは黒いエンクローザーの中に収まっていました。
FORISというブランド.HDという新しい提案をしていきたい。「ドット+HD」など。
画面を大きくするときりがなくなると考えているそうです。
32インチのテレビを置くと、60センチの距離では壁とユーザーが感じてしまうので、27インチを上限としているそうです。
画面の大きさに凌ぎを削っている家電メーカーとは違う価値観を持っていることがこのようなところからわかりました。
わたし自身、最近、AV関係のイベントなどに参加する機会が多いのですが、各メーカーが発売している大きなテレビを置くことのできる部屋のサイズはどの程度だろうと疑問に思っていました。日本の平均的な間取は6畳や8畳、あるいは12畳です。マンションなどでは15畳前後のリビングルームが取り入れられていますが、日本人の大半はそれほど大きなリビングルームのある家には住んでいないでしょう。
わたしの自宅は、わたしの私室は12畳が2間、リビングルームは8畳+6畳、ダイニングルームは12畳ですが、20インチから40インチのテレビで実用上は十分です。それ以上の大きなテレビを見ると疲れてしまうと思います。
「開発者は自慢が好き」だな?と改めて感じました。開発に苦労をすればするほど、満足のいく製品ができあがれば満足度の高いほど、話をしたくてたまらないという気持ちが伝わってきました。
特に社風で、こだわりのある製品を作るメーカーであればあるほど、この傾向は強いようです。
わたくし事ですが、わたしも今年、自然派空間というデジカメの写真とGPSデータをいインターネット上で手軽に融合できて、Google maps上に表示できるシステムの開発を終えましたが、これを自慢したくてうずうずしていた時期があります。
開発者はハード的な製品でも、ソフトウエアでも、気持ちは一緒だと共感を得ました。
自然派空間の自慢でいうと、GPSつきの携帯電話で撮影した写真をアップロードすると、システムが自動的に写真を撮影した日時と場所を読みとって、Google maps上に写真をポップアップで表示きる機能を備えていますが、わたしの個人的な好みでこの機能は作動しないようにしています。
1/13 2009 TREviewへのリンクを追加しました。
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by TREview
mizunuma 12月 1st, 2008
Posted In: EIZO, 参加レポート・ブログ・ブロガーミーティング