
1/14 2008 に株式会社ゴーガ主催のWebマーケティングセミナー「最新アクセス解析ツールとその活用法」に参加しました。
インターネットでWebSiteを運営する上で欠かせないツールの一つがアクセス解析サービスです。
アクセス解析サービスに新たな切り口からクライアントにアプローチをしたUser Insightの具体的な解説と、無料で誰でも利用出来るアクセス解析のサービスのGoogle Analyticsの利用方法と最近追加された機能の解説が行われました。
以下、わたしの備忘録をかねて、当日の模様を主観を交えて書き留めておきます。
ブログに公開することについて、株式会社ゴーガの許可を得ています。
アクセス解析の現状とUser Insight
株式会社ユーザーローカルと伊藤さんの略歴
- 株式会社ユーザーローカルについて
- ブログパーツ「なかのひと」運営
- SimpleAPIの運営
- 携帯無料解析「うごくひと」の運営
- 総務省「国内ブログ実態調査2008」を担当するなど研究開発系の業務
- 伊藤さんの略歴
- 日経BP、楽天に在籍。
- 就職コミュニティー「みんなの就職活動日記」を設立、株式会社化
アクセス解析の実施
- 今なぜ、アクセス解析が必要か?
- ユーザー数が頭打ち
- 1人あたりPVも上限に
- WEBサイト数は増加
- SEO競争
- 2006年から家庭アクセス数の総PVは横ばい
競争激化で1サイトあたりのUUやPVは減少、不景気で、コンバージョンも悪化傾向。
Webサイトのベンチマークが重要に。
どんなツール/どの機能を使っているのか?
利用されているのは無料ツール、Google Analythics、ニンジャツールなどが使われている。
毎日、アクセス解析のデータを見ているのは約22%、閲覧の目的はPV、UU、キーワードとページ遷移(経路)が中心。
経路とは「どこからきたか」「どうのようにみているのか」を意味する。
コンバージョン率、つまり「どのくらいの人が買ったのか?」「申し込んだのか?」を把握しているか?
ここまでできていれば、一通りのアクセス解析ができているといえる。
アクセス解析で得られたデータを利用する
- サイトを最適化する
- 買いにきたのだけれど買わなかった理由を分析し、解消する。ボトルネックはどこか、なぜなのかを考える。
- 新しい価値を創造する。既存のサイトは財産といえます。すでにあるサイトに新しいコンテンツを追加して価値を高めます。
- 既存のサイトを改善する。既存のサイトは財産といえます。すでにあるサイトに新しいコンテンツを追加して価値を高めたり、ユーザービリティを改善してユーザーがより多くサイトにとどまってくれるように改善をします。
「WebSiteは紙媒体ではない、他のメディア媒体に勝るメリットは?インターネットは何が凄いのだろうか?」を意識する。
- ほかの媒体に対してのメリットを考えると...
- 価格が安い。
- 検索ができる(百科事典を検索するのは現実的ではないことを考える)。
- 容量が膨大でも必要な情報だけをダウンロードすればすむ。
- 動画がみられる。
- etc...。
- 紙に勝るメリットは?
- 価格が安い、つまり低コストに配布できる。
- 編集が容易にできる。紙なら出版をすれば編集はできないが、Webなら永遠に編集ができる。そのうえユーザーが編集することもできる(CGM)。
- トランザクションができる。閲覧をしたユーザーがその場で問い合わせや購入といった行動に移れる。チラシのようにみるだけで、購入は実店舗へ来店、あるいは通販のように電話をするといった、新たな行動を伴わせる必要がない。
- ユーザーがどのページをみたか、どの順番で見たかを調査できる。調査した結果をもとに、よりよいWebSiteに修正することでユーザーによりよいサービスを提供できる。
WebSiteの目的を定義する
自社の売り上げの源泉が何かを定義する
- KPIとは?(重要業績評価指標)
- KPIをgoogleで検索する
- サイトの目的を決めたら、その数値に影響を与えていきその変数(=KPI)を探してみる
-
- 測定できるもの 数値化できるもの
- 改善可能なもの 景気など自社ではどうにもならないものは省く
- 単純なもの 複雑であってはならない
- ビジネスを考える上で、何が売り上げに影響を与えているのかを考える。
- KPI:仮説の設定方法
- 目標を立てて、そのために必要なことを書き出す。
- 当社は1をあげることで売り上げが伸びる。
- 1を上げるためには、2と3が必要。
- 2にためには、2?Aと2?Bを改善する。
- 3にためには、3?Aと3?Bを改善する。
- まず仮説を立て実行する。結果が良ければその仮説を最適化する。間違っていれば変更、もしくはやり直しをする。その繰り返し。
- ではWebSiteに当てはめればどうか?自分のWebSiteの仕組みを単純化してみる
- 検索エンジン、アフィリエイトなどの広告、メール、クチコミなどから人は来る。
-
- 直接アクセス(商品を販売したり資料請求をするページへダイレクトにアクセスがある)。
- WebSiteのトップページや、他サイトのページからリンクをたどって来る。
- 上記2つの合計 が 売り上げや資料請求に結びつく。
- 流入を増やす(検索エンジン最適化、広告)、サイト内部での誘導の最適化。
-
- よくするための手法
- SEO対策で検索エンジンから誘導をする、他のサイトからの被リンクを獲得されやすいサイトとするなど。
- サイト内部でのリンクをわかりやすくして、ユーザーを迷わせずに誘導する。
- KPI 例1)法人サイトの一例
- 目標:資料請求数をあげることを売り上げが伸びる。
-
- 資料請求を増やすには、入り口と申し込み率のアップが必要
- 入り口を増やすには外部からのリンクを増やし広告を出稿する
- 申し込み率のアップにはドロップ率を低くする
ある程度の売り上げが得られたら、次にステップアップする。
- 仮説を立てる。資料の申し込み数の割合を把握する。
- どこから来たのか(検索エンジンならgoogleかYahooか、ブログで紹介されたからかなど)が影響をしているのでは?
- 入口を増やすには、どんな人が見ているかを調べた方が良いのでは?
- KPI 例2)雑誌社の雑誌サイトの一例
- 目標:部数を上げることで広告売り上げが伸びる
-
- 部数を上げるには、認知度のアップと記事の質の向上が必要
- 認知度のアップには、記事数の数を増やすことと記事の話題性を向上させることが必要
- 記事の質の向上には、編集者と記者の質の向上が必要
ある程度の発行部数が得られたら、次にステップアップする。
- 仮説を立てる。発行部数の割合を把握する。
- どこから来たのか(検索エンジンならgoogleかYahooか、ブログで紹介されたからかなど)、が影響をしているのでは?
- 入口を増やすには、どんな人が見ているかを調べた方が良いのでは?
- KPI 例3)コミュニティサイトの一例
- 目標:PVをあげることで広告売り上げが伸びる
-
- PVのアップには、書き込み数の増加が必要
- 書き込み数の増加には、書き込み回数の増加と書く人の増加が必要
- 書き込み回数の増加には、アクセス頻度のアップが必要
- 書く人の数の増加には、掲示板への流入の増加が必要
- 仮説を立てる。アクセスしているユーザーの属性を把握する。
- 性別、ユーザーの年齢、インターネットの初心者かヘビーユーザーかどうかなどのユーザー属性が掲示板への書き込みに影響を与えているのでは?
User Insight
- 既存のアクセス解析システムの弱点
- どのページがどれだけみられているのかにフォーカスしています。アクセス解析が登場して10年以上を経過しましたがこの点では大きな進化はありませんでした。
- 閲覧者がどういった人かを調べられない。
- どんなコンテンツが受けているのかがわからない。
User Insightの実用例
- User Insightによって実現できること
- ユーザー属性ごとにアクセス解析ができる。IPアドレスで都道府県までは特定できるので都道府県別に広告を出稿して実績が上がったのかを確認できる。
- ページ内でのユーザー行動を追える。 どの記事が読まれているかを特定できる。
- 誰が、どのように、自サイトを見ているかを詳しく分析して、コンテンツを継続的に改善できる。
ヒートマップ(サーモグラフィ)機能を使うと、長いページほど下の方ほど読まれなくなることが視覚的に分かる。
ヒートマップ機能とは、サーモグラフィを表示させると温度の高い所は赤い色、低いところは青い色となる色彩の表現力を取り入れたもので、ユーザーが見ている時間の長いサイトの一部分を赤い色で表示して、見られていない部分は青く表示する。あるいはクリック数の多い部分は赤い色で表示してクリックされない部分は青く表示するなど、ページ単位で視覚的にユーザーの行動を把握できる機能。
- 活用シーン 例)メーカーのサイト
メーカーサイトで、商品ターゲットにあわせたコンテンツやデザインのページを造ります。
- サイトの制作者の意図はこの商品は中高年の男性をターゲットにしてあるのだが、調査の結果は以外に女性も見ていることがわかったら、改善をする。
- 別な商品では女性や若者向けのデザインとしてあるが、親が子に買うために見ていることがわかったので、親も意識したデザインとする。
- 活用シーン 例)コミュニティサイト
- 入り口は長いページなのでほとんどのユーザーは最初に表示をされた画面だけを見ていて、スクロールをしなければ読めない下の記事やコンテンツやリンクは見ていなかったことが分かった。ところが、下方でクリック率が高い箇所があることもわかったので、下方にあるクリック率の高い箇所を上に持ってゆき、全体としてクリック数をあげることができた。
User Insightの特徴
メールなどを送受信できる程度のレベルの人、アクセス解析になれていない人が使うことを前提に作られている。ユーザーインターフェースが分かりやすいだけでなく、取り出されたデータも視覚的に分かるので、難しいアクセス解析の用語などを知らなくてもある程度の情報を得ることができる。
「なかのひと」のデータを利用することで、ある程度のユーザーの傾向が把握できる。月間で2億のデータをとっている。そのデータをベースとして、地方、年齢、組織、ユーザーのインターネット利用度、などを推測できる。
趣味や収入なども将来的には取り入れることは可能と思われるが、今は対応していない。
- キーワードの属性を把握
- 男女、年齢、地方など。たとえばUSBというキーワードは男性が多い。
- 業界ごとに、どの組織からアクセスが多いかがわかる。
- コンテンツごとの傾向
- ページが閲覧されている時間、長い時間を読まれているなどがわかる。ページ単位の滞在時間がわかる。
- 時間帯によってページの中のどの部分が多く見られるかがサーモグラフィでわかる。
- googleとyahooではどうユーザーが見ているかがサーモグラフィでわかる。
- 一見さんと常連さんでは見ている位置や見方が違うことがサーモグラフィでわかる。
- 東京都と地方の人の見る視点の違いがわかる。東京の人は地名をクリックしていて地方の人は特集やクチコミを参考にしている。
- ログの取得方法
- ビーコン型
- 調査したい全ページにタブを埋め込む。JavaScriptタグ。
- ドメインの制限
- サブドメインは可。
- .co.jpと.comの様な違いはNG。
- そのほか
- 液晶ディスプレイが大型化しているが、ブラウザのサイズはあまり大きくはなっていない。横1000×縦1000px前後。以上のことから、サーモグラフィの表示の方法は現状では理にかなっている。
- タグを埋め込むことで、表示が遅くなったりの負担はかかっていない。
- 一番大きなサイで1000万/月pv。この負荷なら問題なく動作している。
Google Analyticsの機能について
主な話の内容
基本機能
最近追加された新機能
お話は株式会社ゴーガ 代表取締役社長小山さん
ゴーガの社歴
2006年5月設立
みずほ情報総研からのスピンアウト組3人
気鋭のエンジニアや+アルファを採用
Webマーケティングへのアプローチ
スタッフの得意分野からアプローチしている
数学的なアプローチ
Google Analyticsとアクセス解析の解説
- アクセス解析ツールのいろいろ
- User Insight
- Google Analytics
- SiteCatalyst
- RTmetrics
アクセス解析ツールは、思い出を残すためではなく、動きをつかんで素早く的確なアクションを起こすためのもの。
レポートが月単位で出てくるのであれば、月単位で手を打てる範囲にとどめるべき。
仮説を立てて、動いてみて、あたりかはずれかを確かめる。
自分が行動できる最短のスパンで動くのがよい。これは年単位、四半期単位、月単位、週単位、日単位でもかまわない。
Google Analyticsは億単位のpvでも対応できる。ユニクロ、クックパッドでも利用されている。
AnalitycsだけでなくAdWordsのヘルプにもいろいろな情報がかかれているので、参考にするとよい。
企業ユーザーから見たAnalyticsの利点
- プロファイルが共有できるのがよい点。
- 分散型。
- サイト単位で他のユーザーと共有できる。
- 共有したくないサイトは設定しなければ見られない。いくつ登録していても見せたいサイトのデータだけを見せることを見せられる。
Analyticsの小技
- Analitycsでのリダイレクト処理
- リダイレクトページにもAnalitycsを追加
- header locationでリダイレクトをすること。(metaタグは使わない)
アクセス解析を生かすには?
- WEBの成果の考え方
- ユーザーの滞在時間が長ければよいと判断するのか?
- PVが多けれがよいと判断するのか?
- まずは自社のKPIを決める(あとで変更しても良いので、決めてから行動に移る)
自サイトの特徴・傾向を早くつかみ、変化に気づける体制をつくり、PDCAサイクルを確立して行くこと。
Google Analyticsの大きな特徴
サイトオーナーは自由に閲覧権限を他のユーザーに与えることができる。
- 共有したユーザーとはURLで同じページ(レポート)を見られる。
- 同じURLをスカイプなどで送信しても相手が閲覧することができる。
- パラメーターを変えるだけで行きたい情報のページに行けるので、JSなどで置き換えて専用のページを作れる。
- ほかのビーコン(他社のアクセス解析サービス)とコンフリクトを起こすことはほとんどないので、併用しても不具合が発生することがない。
- 目標設定ができる。1つだけ目標を設定できるので利用すべき。
ここから最近新しく追加された機能
- サイト内検索
- サイトに「googleカスタム検索エンジン」をどう縫うし、その検索ボックスにユーザーがどんな語句を入れているかをGoogle Analyticsで分析。
- 比較
- 前の月と今月を比較したりできるようになった。
- ベンチマーク
- 他のサイトと比較できる機能。
- そのほかの機能
- アドバンスドレポート
- カスタムレポート
- モーショングラフ(メニューをEingrishにしたときだけ使える)
以上、簡単ですが、当日のセミナーをまとめておきます。
この様な素晴らしいセミナーを開催してくださった株式会社ゴーガ様と株式会社ユーザーローカルの伊藤様に感謝したいと思います。
mizunuma 1月 15th, 2009
Posted In: アクセス解析